1か月で脱WindowsしてLinuxに移行した【その2.下調べと準備のプロセス】を手短にまとめてみました
2020年1月のサポート終了までそう遠くない時期に来ている上に、毎月定例のアップデートにまつわる気疲れでいよいよ居心地のわるさを感じるようになってきたWindows7環境。ここから早いとこ脱けだしたい、いや是が非でも脱出せねば・・・との切なる想いで、Linuxの勉強に取りかかったのが2018年4月初旬のことでした。
Windowsとの違いで知っていないと困る点からインストールの手順、その後の付き合い方に至るまで、Linuxという未経験のツールを導入するにあたって心配なことや気になることは逐一ネットで調べ、とくに一度や二度では覚えにくいこと、忘れては困る事柄については紙の手帳やノートに書き出すというアナログ的な手法も積極的に活用したのであります。
もちろんその一方で、いつもながらの「コピー&貼り付け」のワザを駆使(?)し、貴重と思われる情報をメモ帳がわりのテキストファイルに残したり、参考になったサイトをブラウザのブックマークに加えたりといったことも大いにやったのですが、やはりそれだけでは頭の中で整理がつかなかったり、時間が経つに連れて記憶があやふやになったりします。
何より、パソコン本体の電源を切った後では、ふと気になった時におさらいや疑問点の再チェックをしたくても手元にメモ一つないと心もとないものです。手作業で「書く」ことを通してこそ得られる記憶・思考力への作用と安心感というものには、ハイテクな機械まかせではまだまだ及ばないところがあることを改めて感じました。
Linux導入にあたって一番気がかりだったこと
Windows環境でパソコンを使い続けることにはウンザリしているとは言え、いざLinuxへの移行を考えたとき、不安のタネは自分でも呆れるくらい次から次へと湧いてきました。
そのほんの一例を挙げてみますと:
Linux移行後の作業環境に関する心配事
- CPUやメモリのスペック、HDDの空き容量はどの程度必要なの?
- モニタ(ディスプレイ)はこのまま使える? 新しいグラフィックドライバーとか入れなおす必要ある?
- 断捨離したくてもできないままHDDに残しているファイルの束はどこに移す?
- プリンターは引き続き使える?メーカーサイトでLinux用のプリンタドライバーの入手はできる?
- Windows環境と同じようにデジカメ画像の取り込みはできる?
- インターネット(有線)はそのまま繋がる? あらかじめプロバイダ側にLinuxにしましたとか断りを入れる必要はあるの?
- Windowsで愛用してきた各種ソフトは使える? できなければLinux用の代替ソフトで間に合う?
- Windows環境で編集・保存したファイル類はLinuxでも引き続き使える?開ける?
- Linuxの画面でフリーズしたときどうやって復帰するの? 再起動の仕方は?
- セキュリティソフトは何を選ぶ?
- 日本語入力システムは整ってる? キーボードの設定とか必要?
- MS-IMEのユーザー辞書に登録した単語データは引き継げないの?
- Linux用の日本語フォントってどれくらい揃ってるの?
- ブラウザのブックマークやメールソフトのデータの移行はスムーズにできる?
・・・等々。さらにインストールの手順について学んでいくうちに、別の不安材料も重く心にのしかかってきます。
インストール作業そのものに関する心配事
- Linuxの試用とインストールに必要な、ライブ起動用のUSBメモリの準備の手順。(最低限必要な容量 / isoファイルのダウンロード / 取り込んだisoファイルの破損等チェックのためのハッシュ値確認の方法 / USB書き込み用ソフトの選び方・使い方)
- USBメモリからのライブ起動に先立ち、BIOS画面での起動ドライブの順序変更の手順の確認。(先ずはBIOS画面にどうやって入るか?から勉強)
- システムの起動方法が 「BIOS(レガシ)」 と「UEFI」 のどちらを採用しているかの確認。
- ディスクスペースのパーティション方式の確認。「MBR(マスターブートレコード)」か「GPT(GUIDパーティションテーブル)」のいずれなのかをチェック。
- Linux用に必要なHDDパーティション構成の選択。 (「基本(プライマリ)」と「論理」の区別 / 必要な容量 / マウントポイントの指定 / ファイルシステムの選択)
- Windows側でのディスクパーティション確認。Linuxインストール用の空き容量もしくは未割り当て領域を確保するためのボリューム削除&再作成操作
- ブートローダーの保存場所 (HDDの先頭でWindows用を上書きするか、それともLinuxをインストールしたパーティションに置くか)
- そして・・・
- 万一、Linuxのインストールに失敗したとき、Win環境にどうやって復帰するか。
- 万一、Windowsが起動できず「壊れる」事態に陥ったとき、何ができるか。
・・・等々。このほか、インストール後すぐにやるべき細かな設定だとか、Windowsではほとんど触れることがなかった「マウント」・「アンマウント」といった独特の業界用語の区別に関する不安など、数え上げるとキリがありません。
Linuxの扱いに慣れた諸先輩方の多くは移行なんてカンタン!と仰せられますが、インストールに先立ってやるべき作業、確かめておかねばならない事柄というものは私のような素人が想像する以上に膨大で、とても一朝一夕にできる仕事ではないことをつくづく思い知られました。
上書きインストールか、デュアルブートかの選択
それでも、学んでいくうちに少しずつLinuxの世界が分かってきて、初めの頃に気になっていた問題がひとつずつ解決して行きました。
さらに少しずつではありますが、どうやらこのWin7入り64ビットマシンでもかなりの確率でLinuxに移行できるかも・・・との楽観的な見込みも立ってきました。
ただ、どういったスタイルでインストールするかについては、最後の最後まで大いに悩みました。すなわち、サポートの最終期限(2020年1月中旬)までは一応使えることになっているWindows7を「残す」か、完全に「潰して」しまうかであります。
この二者択一の選択は、他のどの心配事よりも悩ましいものでありました。
長年慣れ親しんだWindows環境のパソコンを、いきなりLinuxで上書きするよりも、必要に応じて両者を行き来できるデュアルブート環境の構築がおすすめ!・・・とのご意見が多く聞かれる一方で、Windowsとのデュアルブートなんてマシンの不安定化を招いたりトラブルの原因にしかならないから、未練がましいこと考えないでさっさとLinuxで上書きせよ、さもなくば別に外付けのHDDかSDDか大容量のUSBメモリを用意してクリーンインストールするのがリスクが少なく最善!との体験談に根ざしたコメントもネット上の各所で見られました。
こちらは素人ながらそのどちらの言い分にも一理あり、説得力もあると思われるゆえに、心中は両者の間でかなり揺れ動きました。
一番カンタンで気が楽なのは、上書きインストールしてしまうことであるのは分かっています。そもそもWin7サポートが切れてもWin10にアップグレードしたいなどという望みはほとんど無いわけですから・・・。
でも、万一このマシンがLinuxを受け付けず導入が失敗に終わってしまったり、最悪HDDが壊れてしまった場合のこととか、Linux環境が本当に自分にとってWindowsの代用となるのか今もって定かでないことを考えると、
Win7をLinuxで上書きインストール・・・その自信はまるで無し。
かと言って、
Win7を残してLinuxとのデュアルブート・・・それも必ず成功するとの保証は無し・・・。
さらに、Linuxを入れようとするマシンとの相性の問題などで、インストールは一旦成功したけどその後LinuxかWindows、もしくは両方とも起動できなくなったとの事例もネット上で割とよく聞かれるので、未経験者としてその決断にはますます慎重にならざるを得ません。
とりあえず、初めに取り組んだこと
ところで、デュアルブートにするにしてもシングルブートを選ぶにしても、このたびのLinuxの導入とか移行とか云々する以前に、真っ先にしなければならなかったことがあります。それはWin7マシンのHDDにギガ単位で残っているデータの整理とバックアップでした。
加えて、万一の「Windows環境への復帰」の事態に備えリカバリの手順を確認したり、システム修復ディスクを用意したり復元ポイントを作成したりといった、めんどくさいけど地味に大切な作業も・・・。
先々の作業で消えてもらっては困るデータと、完全に不要なファイルの仕分けに始まって、クラウドストレージサービスを使ったデータの隔離が終わるまで、結局一週間以上かかりました。
できる限りの備えをひと通り確保し、もしもの時の復旧のメドが立ったことで、気持ち的にはずいぶんと楽になりましたが、いやはやこれだけでも大変な作業でした・・・。
目指すは、やはり
データの片付け作業と平行して、Linuxをインストールする際の一般的な決まり事とか手順とか、数あるLinuxディストリビューションのうちでどれを選ぶかといったことなどを学びつつ、終始気にかかっていたのはやはり「上書きか、デュアルブートか」の問題でした。
当初から、自分の作業環境には上書きインストールよりもデュアルブートのほうが適しているのではないか・・・と思っていました。しかし「一つのマシンに二つのOSを入れる」ことがもたらすリスクについていろいろな方面からの意見や体験談を聞くたび、デュアルブートは本当に正しい選択なのか?との迷いで、データのパックアップ作業が一段落した後もしばらくの間なかなか決断に踏みきれず、悶々としておりました。
やがて最終的に思い至ったのは・・・
シングルブートにするべく上書きインストールを試みて失敗するのと、
デュアルブートにするべくWin7領域の隣にLinuxを入れようとして失敗するのと、
「どちらがより短時間で、通常のパソコン作業環境に復旧する可能性が高いか?」と繰り返し自問してみると、
少なくとも自分にとっては「後者」でないか?・・・との考えに落ち着くのでした。
それに、一旦Linuxを入れた後でも、Windowsを全く使わなくなるとは限らないし、サポート切れの日が来るまでは割とひんぱんに両者の間を行き来することも考えられます。
とにかく、一度使ってみないことには話になりません。その結果として、やっぱりWindowsでなくてはダメと分かればLinuxのパーティションを削除すればいいし、逆にLinux一本で大丈夫との確信が得られれば、Windowsのパーティションを無くしてデータの保管スペースにすればいい訳ですから。
本当に長いこと悩みましたが、最終的には「デュアルブートでのLinux導入」を目標に、さらにその方向に絞り込んで下調べを進めることにしました。そして同時に、心の準備も・・・。