しま模様が勝手に入ってしまうデジカメ写真の補修方法を見つけた話
20年ものの古さながら我が家のデジカメ生活で不可欠の存在となっていた、カシオの薄型デジカメ、「エキシリム」の初代モデル。
最新の機器とは比べものにならないほど画素数は少ないし四隅のピントは流れがちだけど、それなりに役に立ってきたこのカメラに、突然異変が起きたのは2021年の秋のこと。
イラスト制作の参考に切り花を撮影している最中、バッテリーの残量が少なくなってきたので撮影を中断し、いつものように専用のクレードルにカメラ本体をセットし、いつものように約2時間かけて充電したのですが・・・。
それ以後撮った写真をPCに取り込んでみたところ、目を疑う現象が。
写真に見慣れない「しま模様」が映っている
なんと撮影再開後の全ての写真に、まるでフローリング床を真上から撮ったような、等間隔に並ぶ薄いしま模様が映り込んでいたのです。
「えーっ何でえ? ・・・ついさっきまでまともに撮れていたのに」
デジカメ背面の液晶モニタはどうなっているのかと思ったら、やはりそこにも写真に重なっているのと同じ間隔のしましまが薄っすらと・・・。
もちろんこんな現象は購入以来初めてのこと。 明らかな原因と言えば、ほんの少し前に行った充電のプロセスが影響したとしか思えないのですが、手元の取扱説明書をめくってもネットで検索しても、似たような症状についての情報は見当たらず、従って対処法も分からない。
既にメーカー側で製造終了になって何年も経つカメラの修理なんぞ望めるわけもありません。
新品に買い換えることも考えましたが、ネットで品定めしているとどれも結構お値段張るものばかりで躊躇します。
それに・・・この初代エキシリム、写真やモニタに無用な等間隔のしましまが入ることを除けば、撮影や取り込みなど他の機能は今までと変わりなく正常に動くのです。 だから、長年の付き合いで生まれた愛着というもの以上に、このまま廃棄の道を選ぶのは非常にもったいない気がしてなりません。
ただこの邪魔なしましまを消す手立てが見つからないゆえに、しばらくの間は、撮影への気力も情熱も萎えてしまい、結局ブログの更新からも遠ざかっておりました。
しかし、2022年を迎えてようやく、このにっくきフローリング模様を目立たなくする方法の発見に至ったのであります。
その自己流の方法で、上掲の花の写真を補修してみた結果がこちら:
写真やカメラを扱うプロの方々から見れば、大したことない成果ではありますが、まあ恥ずかしながら個人のブログ用途には何とか載せられる程度にごまかせたのではないかな?と思っています。
何と言っても古いデジカメの不調を補うために編み出した方法なので、他のカメラユーザーの方々に参考になるかどうか分かりませんが、一応その手順をここにご紹介します。
要するにカメラの内側をいじるのは不可能とわかったので、写真の方に手を加えて直すという方針に転換したというわけです。 ここで出番となるのはは、無料のお絵描きソフトとして近年人気急上昇中のKrita(クリタ)であります。
【公式サイトはこちら】
主にラスタデータで絵を描く方に好評のソフトのようですが、ベクタも描けます。 筆者としては、ラスタもベクタも同じ画面で扱えるソフトは、昔愛用していたPaint Shop Pro6と似た感覚もあってとても扱いやすく、最近は他のベクタ専用ソフトよりお世話になる機会が多くなっています。
元画像 (補修前・シマシマ入り)
それでは、以後サンプル写真を使ってこの自己流の補修方法をご説明します。
当ブログのアシスタント、クマのこぼねと馬のさくら、そして先日購入したダイソーのデジタル温湿度計などが写っています。
手順1 - しましまに合わせてシマシマのレイヤーを創る
Kritaに補修したい写真を呼び出します。その写真が載ったラスタレイヤーとは別個にベクタレイヤーを一枚作り、実際の写真のしま模様に合わせて、Kritaの「矩形ツール」で白色のしま模様を描画します。(必ずしも白色でなくてもいいと思います。見分けやすいと思うお好みの色で。)
手順2 - しましまだけを選択する
しま模様を描いたベクタレイヤーにおいて、「近似色選択ツール(「あいまいさ」の値は最高の200)」を使い、白いしましまのどこか一点をクリック。白いしま模様だけが選択されます。
手順3 - 必要に応じて選択範囲を広げる
写真によっては選択範囲を広げるほうが、よりきれいにしま模様を隠せることがあります。その場合は「選択」メニューにある「選択範囲を広げる」を呼び出し、1〜2ピクセル程度の値を入れてOKを押します。
手順4 - 選択範囲をぼかす
手順3で選択したまま、しま模様入りベクタレイヤーを隠して(非表示にして)、補修したい写真のレイヤーに移動します。
続いて「フィルタ」メニューの「ぼかし」に行き、そのサブメニューから「モーションぼやけ」を選びます。
選択中を示す破線を非表示に(Kritaではコントロールキー + Hでも可)してみると、例のしましま模様がだいぶ目立たなくなったのがおわかり頂けると思います。
Kritaの「ぼかし」フィルタは以下の4種類が用意されています:
- ぼかし
- ガウシアンぼかし
- レンズぼやけ
- モーションぼやけ
このうちで筆者にとって一番理想に近い結果が得られたのは「モーションぼやけ」でした。 設定は数値など特に変えることなくデフォルトのまま使います。
もちろん使う画像加工ソフトはKritaでなくとも、レイヤー操作やベクタ描画、フィルタ機能などが揃っていればGIMPやInkscapeなど他のソフトでも可能と思われます。
ただ、Kritaの「モーションぼやけ」の代わりに、GIMPで「線形モーションぼかし」を試してみたところ、フィルタ効果が強すぎるのと設定項目が多くてやや扱いにくく感じました。やはりこういう単純な補修にはシンプルなKritaのぼかしフィルタとのほうが相性がいいようです。
完成
選択を解除し、写真全体にアンシャープマスクをかけるなど適宜体裁を整えて出来上がり。
一連の作業に使ったファイルは、Kritaドキュメント(.kra)として保存しておけば、次回別の写真(サイズ・解像度が同じもの)の補修の際にもそのまま使えて便利です。
さて、この記事の冒頭に掲載の、切り花の写真を元に描いたイラストの一つがこちら。 悔しいことに、上の補修方法をまだ悟っていなかった時に難儀しながら描き上げた絵柄であります・・・。
無料素材サイトにてダウンロードできますので、よろしかったらご活用ください。