ウチ流の引越し荷造り戦略【2】箱詰めのポイント
引越しの予定日が目前に迫る中、住まいのあちこちに散在する品々をどんどん箱に入れていかなくてはならないという段階でついやってしまいがちなことの一つが
「箱の容量に任せて、あれもこれもと隙間が無くなるほど詰め込もうとする」
ことではないでしょうか・・・。
引越しを楽にしない物の詰め方
1. 重い物ばかり詰め込んでしまう
一見大きくて頼もしげな、いかにも何でも入りそうなダンボール箱を前にすると、「一度に沢山のまとめて品を運べれば楽じゃないか!」という単純な計算が働くからか、詰め込みへの意欲は一気に高まるものです。しかし実際は、それが後々の搬出・搬入・開梱において「ちっとも楽にならない」結果を招き、後悔することが多い気がします。
では、大箱でなく、前回の記事(以下参照)でご紹介している「小ぶりの箱(浅型/スリム深型)」ならどうでしょうか?
この程度の大きさであれば、少ない容量を有効に活かすべくパンパン&ギュウギュウに詰めこんでも構わない・・・と期待したいところですが、実際はなかなかそうも行かないようで、中身しだいではかなりの重荷になります。
例えば、本・雑誌・パンフレットやCDのたぐい。分厚いハードカバー本や広辞苑クラスの辞書といった重量級は言うまでもありませんが、軽めの単行本や薄手の小冊子など、単品ではさほど重たげに見えない紙の束というものがなかなかの曲者。勢いに任せてどんどん詰め込んでいるうちにいつの間にか重みを増し、持ち運びの際にダンベルのごとき過重な負荷をもたらすこともあります。
水回りスペースに多い、液体入りの容器も要注意。キッチンなら醤油やみりんといった液体調味料、飲料水のペットボトル、各種レトルトパウチ、サニタリー関連なら洗剤や柔軟剤、シャンプー・リンスなど。こういう「水もの」ばかりをギュウギュウに詰め込むのは避けたほうが無難ですね。
図解:重たい品々を集中させてしまう例
2. ジャンルが違う物を一緒にしてしまう
一つの箱にある程度物を入れ込んだけど「まだ空きがある!」というとき、そのすき間にちょうど収まりが良さそうな大きさであるというだけの理由で、他の箱に入らなかった物をやみくもに押し込んですき間を埋めようとするのも、あまりよろしくない傾向のようです。
几帳面で収納好きな人ほど、この詰め込み作業を念入りにしなければ気が済まないことが多いようなので注意しましょう。 ウチの母がその好例。
一例を挙げると、
- 普段使いの食器の間に、日頃めったに使わない調理器具や保存容器が紛れ込む。
- カーテンを収めるはずの箱に、家族のシーツやバスタオル、カーディガンが一緒になる。
- 洗濯カゴや風呂水ポンプ&ホース類と、居間のゴミ箱やスリッパやトイレットペーパーが同居する。
・・・等々。引越し当日まで使わねばならない日用雑貨や衣類ほど、こうした用途やカテゴリ無視の詰め込みの対象になりやすく、さらに引越し作業員が搬出に訪れる時刻が迫ってくれば混乱は頂点に達します。
追い詰められた心理状態からここでついやってしまいがちなのが、
- 「ええい、もう時間が無いからここに入れちゃえ」と、何もかも一緒くたにまとめてガムテープで封印。
- このとき何を入れたかについて、箱への書き込みや手帳へのメモなどはもうこの際一切省略。「もう1時間もすれば向こう(新居)に入るのだから、すぐ思い出せるわ」などと、楽観的な構えで作業員に引き渡してしまう。
・・・しかし。そうした成り行きまかせで詰め込んだ箱の中身ほど、新居に到着してからまともに思い出せたためしが無いのであります。
3. 入居後すぐに使う物と、当分の間使わない物を混在させてしまう
家具や荷物の大まかな位置の指定は引越し作業員のお兄さん方にお願いできるものの、大移動直後の新居は大小の家具や箱詰めされた荷物の山でごった返しています。
そんな混沌とした状況で、すぐにも取り出さねばならなくなるのが、主に「飲食」・「バス&トイレ」・「着替え」・「就寝」にかかわるものなのですが、これが思うように見つからない。
一例を挙げると、
- 食事をしたいが、テーブルを拭くのにいつも使うふきんや除菌用の洗剤がない。
- 湯のみはあるけど急須が見当たらない、茶の葉がない。
- 昼食に新品の紙皿を使いたいのに見当たらない。
- 風呂に入りたいけど石鹸やシャンプーがない、下着がない。
- 日が暮れかかっているし早く横になって休みたいが、カーテンが見当たらない。
- 敷布団は敷いたがシーツや枕をどこに入れたか忘れた。
・・・等々々。
図解:入居先で目的の品が見つからず、混乱極まるときの図
普段の暮らしの中では何気なく、スムーズに済ませているような基本的な動作や行動には、必ずセットとして揃っていなければ成り立たない物があって、その一つでも欠けている状態というのは実に大変なことなんですね。それが見つかるまでいつまでもジリジリと待たされたり、あるいは待たせたりすることになります。
引越しの負担を軽くする箱の詰め方
すき間を埋めるより、目的・用途の統一を
要するに引越し用の箱というのは、あくまで一時的な移動に用いる入れ物であって、定住先で日常的に使う「収納ボックス」とは異なるという点をしっかり踏まえておくことが大切なようですね。
前述のような新居でのムダな混乱と労苦に懲りた経験から、このたびの10回目の引越しで私たちは目的や用途、優先順位などが同じ物を一緒にするよう心がけながら、重い物を集中させないで幾つかの箱に分散させることを特に意識して荷造りを進めました。
例えば、本や紙資料であれば箱ひとつあたりに入れるものを
「辞書類1~2冊と、薄手の小冊子や単行本5~10冊程度」に抑えたり、
洗濯洗剤のたぐいなら
「1リットル級の大ボトル2本と、300ml前後の小・中ボトル3~5本くらい」にとどめるといった具合に、重い物と軽い物を適当に組み合わせて可能な限り軽量化を図りました。
図解:重い物の分散を図る箱詰めの例
箱の中が7~8割ほど埋まり、まだ何か物が入りそうな余裕が見られてもそこはぐっとガマン。代わりにプチプチなど余った緩衝材や薄いウレタンシート、くしゃくしゃに丸めたチラシなどを押し込むことで、運搬中にゴロゴロと中身が片寄ったり倒れたりしないよう配慮しました。
図解:「ぎっちり」と「ゆったり」、箱詰めのスタイルの対比
開梱で後悔しない、品目の書き込み方
さて、我が家のこれまでの引越しでは、箱の外にその中身についてメモするとき、まず「台所」・「洋室」・「和室」・「洗面所」といった使う場所や部屋の区別を明記した上で、「フライパン26cm」・「ザル・ボウル」とか「風呂掃除用品」・「書類・CD」といった細かな品目を書き込んでいました。
自前で用意した使用済みの空き箱ではなく、引越し業者からサービスで提供される箱には、あらかじめ搬入先の部屋や品目などの一覧が印字されているものもあります。
例えば、前回に続き今回もお世話になった「引越しのサカイ」オリジナルの箱には、トレードマークのパンダさんと一緒にこんな表が上ぶたや側面にプリントされています。
これはこれで大まかな仕分けには便利なのですが、ちょっと惜しいのは印字部分の色がほぼ黒一色である点。この上に黒のマーカーでマルを付けたり書き込んだりすると、見分けにくくなることが多い・・・ということを前回の引越しで学習したので、今回は思い切って赤いマーカーを使いました。もちろん、黒とかぶらなければ他の色を使ってもいいと思います。
ともかくも、部屋を区別する印については、箱の天面と側面(4面中1面だけでもOK)に、マーカーで大きく記しておくだけで済みます。しかし、その中身・・・こまごまとした品々を書き込むのは、毎度のことながらなかなか難しいところがあります。
我が家の家財道具の場合、引越し業者オリジナル箱の『選択式の品名一覧』(上写真参照)の内容と一致するものは割と少ないので、結局は手書きの作業が多くなってしまうのですが、とても全部は記せないものです。引越作業員のお兄さん方の手前あまり大っぴらにしたくない品目があったりすると、文言の選択に悩むことさえあります。
さらに、箱詰めを進めていくうちにいろんな都合で一旦収めた箱から別の箱に移し変える必要が出てくることも割と多くあります。そのたびにせっかく記した品目名に二重線を引いたりして書き換える必要が出てくるわけですが、これをマーカーやボールペンなどで繰り返すと見た目が汚くなって読みにくくなりがちです。
そこで、今回は品目については箱に直接書き込むのでなく、手元にあった広い白無地のシール用紙を貼り、物を入れるたびに鉛筆で書き加えるようにしました。中身の変更があったときは消しゴムで消して書き直せるし(消すヒマもなくなったときは黒いボールペン等で上書きもOK)、白地なので段ボールの茶系の地色に映え、薄い字でも充分読み取れます。そもそもこうした細目は家族間もしくは自分だけで理解できればいい内容がほとんどですから、わざわざマーカーで目立たせる必要はないかも知れません。
補足:箱の封印に必須!の助っ人ツール
一つひとつの箱詰め作業を締めくくる、封印用のガムテープ。便利で欠かせない素材ですが、これまでの引越しでは、素手で切ったり貼ったりすることを繰り返すうちに、粘着剤の影響か手指がひどく荒れることがあります。
とくに前回までの引越しで、その後数週間もの長きにわたり指先の腫れや関節の傷みが引かず難儀したウチの母は、どこから情報を得たのか、今回の引越しに先立ってこんなツールを導入しました。ガムテープ専用のカッターです。
テープの上から挟んでパチンと留めるだけ。鋸歯は粗めですが本体と同じプラスチック製で、少々触れたぐらいでは周囲を傷つけたり引っかかったりする心配はありません。
小兵ではありますが、実際これが大活躍。たちまち家族の間で引っ張りだこになりました。素手で引きちぎったりするときと比べると粘着面に直接触れる面積が大幅に減る上に、軽い力でも一度できれいにカットしてくれるので封印にかかる手間も時間もかなり短縮。ギザギザの切り口は箱の解体のときなどに剥がしやすくこれまた助かりました。何でもっと早く出会えなかったんだろうかと思うくらい。引越しに限らず梱包作業にはまさに必須のアイテムとも言うべき、オススメの道具です。
今回はウチの母が地元のホームセンターで買い求めましたが、楽天などオンラインショップでも販売されています。
かなり前から好評のロングセラー商品のようです。