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接写できないデジカメで手軽に接写する方法【その2:平らで薄い被写体編】

マクロ撮影モードも光学ズームも持たない我が家のデジカメ、カシオ製薄型デジカメ・エクシリムシリーズの初代モデル「EX-S1」で小物や雑貨などを近接撮影したい!という長年の願いは、手元にあった75mm拡大鏡との強引な合わせ技を用いることで一応は叶えられました。

 

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しかし、いつもいつもどんな被写体でも、「左手に拡大鏡・右手にデジカメ」という不安定な構えで接写できるわけではありません。ぺらぺらの紙片のような平らで薄手の、自立しにくい素材を相手にする場合に、すでに塞がっている両手に代わってそれを支えてくれる何らかの道具が欲しくなってきました・・・。 

 

2次元平面の被写体の近接撮影にも使います。75mm径拡大鏡

2次元平面の被写体の近接撮影にも使います。75mm径拡大鏡

 

  

専用の拡大鏡スタンドを自作することに

いろいろ考えた末、自作してみたのがこちら。大鏡を定位置にキープするための簡易スタンドであります。:

 

なんちゃって接写&スキャナー代わりに自作した、拡大鏡保持スタンド

なんちゃって接写用に自作した、拡大鏡保持スタンド


大鏡がもっとコンパクトで、しかもレンズ部分だけカメラ側に引っ掛けられるならこんなもの作る必要はないんですけどね・・・。

 

主な材料と構成

手元の不要品を掻き集めて組み立てた、にわかづくりのスタンドの材料は以下の通りです。:

  1. 本体・・・引っ越しを機に買い換えたFAX電話機の梱包材のひとつである発泡スチロール素材の緩衝材の一部。
  2. トレイ・・・小ぶりの浅い空き箱。
  3. 重石 (おもし)・・・壊れた卓上時計のスチール製の台座。
  4. ゴムバンド・・・拡大鏡を水平に保つための結束用。

 

拡大鏡保持のための自作スタンドを裏側から見たところ。

大鏡保持のための自作スタンドを裏側から見たところ。

作り方


本体に発泡スチロール片を使ったのは、軽くて持ち運びが楽なのと、筆者のようなDIY超初心者でも穴あけなどの加工がしやすいから・・・という、きわめて単純な理由によるものです。

 

  1. スチロール片の側面に貫通穴を開ける:筆者の愛機エクシリム初代モデルEX-S1と、72mm径拡大鏡の組み合わせの場合、きれいに接写できる距離は机上の設置面からの高さがカメラの厚みを含め約12センチであることを確認していますので、この位置に拡大鏡を保持できるように、その持ち手が通るくらいの大きさの貫通穴を開けます。(※ 上写真のスチロール片の厚みは1.5センチほど。切削用に特別な工具は要りませんが、粒状の細かなくずが周囲に散らばりやすいので注意しませう)
  2. スチロール片をトレイに乗せる:スチロール片を安定させるため、受け皿としての浅型の空き箱の上にスチロール片を置きます。のちに重石を置くのでテープ止め等の固定は特に必要ありません。
  3. 大鏡から持ち手を取り外す:この拡大鏡の場合、レンズ側と持ち手側がネジで接合するつくりなので外したり戻したりは簡単にできます。
  4. 貫通穴に持ち手を通す:外した持ち手を、スチロール本体に開けた穴の片側から通します。その先端のねじ山が穴からわずかに突き出るか突き出ないかの辺りで、レンズを再び取り付けます。
  5. レンズを水平に保つためにひと工夫:これで拡大鏡は一定の高さで宙に浮きましたが、そのままでは傾きが激しく不安定。スチロール本体のズレ防止も兼ねて、拡大鏡全体を水平に保てるよう、持ち手側に適当な重石をゴムバンドで結びつけて傾きを補正します(上写真の自作スタンドでは、重石として某大手プロセッサーメーカーのロゴが入った卓上ミニ時計のスチール製の台座を再利用しています)

 

これで、全高25センチ、足まわりの幅・奥行きが15センチ程度の、縦型・省スペース志向の簡易スタンドが出来上がりました。

 

使い方

大鏡はいつでも取り外せるようにと完全に固定しているわけではないので、少しでも力を加えるとレンズが左右前後に傾いて水平が保てなくなります。そこで撮影の際は、片手で結束用ゴムのあたりをつまんだり張りを持たせたりなどして気を付けながら、デジカメ側のレンズを、スタンド側の拡大レンズの中心に合わせて、軽く押し当てるように重ねます。 

  

次に、デジカメの液晶ファインダーから見て、被写体がフレームにきちんと収まっているかをチェック。望むような構図が得られていなければ、スタンドの足元であるトレイか、被写体そのものの位置をずらして微調整します。

 

この場合、被写体はカッティングマットなど、机の上で程よく滑りのいい材質でできた平らな板状のものの上に乗せておくと便利だと思います。 

切り絵図案の下に敷いているのは、A4サイズのカッティングマット。表面はマットな質感で滑りにくいですが、ウラ面はつるつるした材質のため、被写体側の位置の微調整に役立ちます

この場合の被写体である切り絵図案の下に敷いているのは、A4サイズのカッティングマット。正方形部分の罫線ひとマス辺り5センチ角の大きさです。表面はマットな質感で滑りにくいですが、ウラ面はつるつるした材質のため、被写体側の位置の微調整に役立ちます。

 

位置決めしたら、あとは手ブレに気を付けつつシャッターを押すだけ。なお、解像度は最高画質とまでは言わないまでも、やや高めの設定にしておくほうが後々加工するときなどに何かと扱いやすいように思います。

 

エクシリムEX-S1モデルの場合、選べる画像サイズ(ピクセル)は「1600×1200」・「1280×960」・「640×480」の3種類あり、それぞれに「高精細」・「標準」・「エコノミー」の3段階から画質を指定できるようになっています。筆者はほとんどの場合画像サイズ「1280×960」ピクセル、画質は「高精細」の設定で撮影しています。これより高めの画質を望むとデジカメの内蔵メモリに記録できる枚数がぐっと少なくなってすぐ満タンになってしまうことから、そこそこキレイに撮れて、容量もさほど大きくならない程度の画質に抑えています。

 

撮影できる平面被写体のサイズ

75mm径拡大鏡レンズ&エキシリムEX-S1のコンビを搭載したこの簡易スタンドを介した場合、名刺・カードサイズから9センチ角くらいまでの小さめサイズの印刷物や手描き図案であれば、一度の撮影で全体をとらえることができます。

 

それ以上に大きなサイズの平面の被写体は、少しずつ位置をずらしながら複数回に分けて撮る以外に方法はありません・・・。

 

例えば、上の撮影例で被写体として用いた切り絵の実寸が10センチ角ほどの大きさなので、このスタンドを使って接写を試みると絵柄の端が途切れてしまいます。

自作スタンドに装着した拡大鏡のレンズ越しに、約10センチ角の切り絵細工を撮影してみたところ。

自作スタンドに装着した拡大鏡のレンズ越しに、約10センチ角の切り絵細工を撮影してみたところ。
10センチ角の切り絵細工の接写例その2
10センチ角の切り絵細工の接写例その3
10センチ角の切り絵細工の接写例その2・その3

 

カード類の近接撮影例

このように、筆者自作のなんちゃって接写用スタンドはあまり大きな被写体を扱うのには向いていないものの、ちょっとしたスキャナ代わりとして活用できるというメリットがあります。

 

以下は、筆者の健康保険証をこのスタンドから撮影 (解像度1280×960ピクセル)してみたところ。(※ 一部画像処理した上で640x460ピクセルに落としております、悪しからず)

 

このスタンドから健康保険証をこの撮影してみたところ。 フチが反っていたりして浮きやすいので、透明のスキャナホルダーに挟んで撮影。

 

紙製のカードはふちの反りや曲がりなどのために、設置面から浮いて影が濃く出てしまうことがあるので、筆者の場合はかつて古いプリンターで使っていた透明シートとベースの白色シートから成るスキャナホルダー(昨今はキャリアシートと呼ばれることが多いようです)に挟み、シートのふちをテープで仮留めするなどしてできるだけカードに密着させ浮き上がらないようにした上で撮影するようにしています。 

  

オンラインサービスで身分証明書のコピーを画像データで提出するよう求められたとき、手元にカメラ付き携帯もスマホも無ければ、スキャナーもコピー機もない!というお宅でも、実用上差し支えない程度にピントの締まったきれいな写真が手軽に得られるので、なかなか便利だと思います。  

 

まとめと今後の展望

子供さんの夏休みの自由研究よりはるかに低いレベルの工作ではありますが、これでなんとか、手持ちでは支えにくい薄手の被写体の接写もできるようになりました。

 

使わない時は拡大鏡レンズも持ち手も取り外して、ちょっとした収納棚か押入れの片隅にでもしまっておけるのも、本格的な撮影キットやミニスタジオを据える場所に乏しい我が家にとってうれしいポイントです。

 

まだ試していませんが、このなんちゃってスタンドを使う接写方法は、紙片や印刷物に限らず、指先に乗るくらいの小さなメダイやアクセサリー、ミニチュアアートなどを大写しにしたいときにも役に立つのでないかと思っています。そんなときは指先とか手のひらとか、他の立体的なものを添えた時でもキレイに撮れるよう、拡大鏡の高さ調節や安定化などさらなる改良が必要になりそうです・・・。