暮らしなもん

衣・食・住で日々出会う品々とのおつきあい帳

豪州出身の兄弟デュオ「for King & Country」の励ましソング特選

地デジ化の頃まで家にあったカラーテレビが突然モノクロ化して壊れて以来、パソコン以外の情報源はもっぱらラジオの我が家。

 

スイッチを入れるのはほとんど朝・昼・夕の食事の間だけ。年齢のせいか睡眠時間はわずかでも削りたくないので深夜放送は一切聴きません。従って、一日中つけっぱなしにして聞き流したりするよりは、定時のニュースや天気予報など短い番組をチェックするだけで済ませる日も多いです。

 

もちろん、食後のひとときにちょっとしたトーク系・バラエティ系の番組を聴くこともあります。そのほとんどが、パーソナリティやゲストのおしゃべりの合間に、それぞれのお気に入りの音楽とかリスナーのリクエスト曲が流れるという、昔から変わらぬスタイルですね。

 

それはそれでテレビの情報番組などとは違った話題の面白さがあってなかなか楽しいのですが、時として気になるのが番組側の選曲。こちらの好みがどちらかというとマイナー寄りであることは認めるものの、しかしどの番組でも邦楽・洋楽を問わず、日本で一般受けすると想定されているアーティストの作品や往年のヒット曲ばかり繰り返し流されているように感じるのは・・・まあこういうことは大なり小なり誰でも経験することでしょうし、公共の電波を使って不特定多数のリスナーに向かって流すメディアの立場を考えれば致し方ないところもあるんですけどね。

 

とくに近年は邦楽より洋楽を好んで聴くことが多い筆者なのですが、その洋楽を専門とうたっている日本のラジオの音楽情報番組でも、見事にかからんなあー要するに知らないんだろうなあーとつねづね思うのが、今回の記事のタイトルともなったオーストラリア出身・アメリカ在住の兄弟デュオ「for King & Country (フォー キング & カントリー)」なのであります。

 

  

 

for King & Country (フォー・キング&カントリー)って誰?

オーストラリアのシドニーにてプロテスタント系の信仰深い両親のもとに生まれ幼年期を過ごした後、音楽関係のプロモーターを務めるお父さんの仕事の都合で一家そろってアメリカに渡った7人の兄弟姉妹のうちのふたり、ジョエル(1984年生)とルーク(1986年生)が、2007年に「Joel & Luke」という名前のバンドを結成したのが始まり。お姉さんのレベッカ・セント・ジェームス  [Rebecca St. James]をはじめ、他のきょうだいや親類も何らかの形で音楽に関わる仕事をしている方が多いようてす。

 

2009年には、昔のイギリス軍でいわゆる戦闘の際の『鬨(とき)の声』として用いられた文言をヒントに現在のバンド名に変更。音楽活動を通して自分たちのすべてを捧げたい、という使命感を込めたとのことですが、このあたりなかなか深いものが感じられます。

 

ジャンルとしてはコンテンポラリー・クリスチャン・ミュージックに属します。兄弟揃ってU2のファンで、ミュートマス(Mutemath)ビートルズなどからも強い影響を受けたという作品の数々は「コールドプレイ(Coldplay)のオーストラリア版」と評されることもあると言えば、彼らの楽曲の雰囲気がイメージしやすいのではないでしょうか。

 

若い世代とあって全般にアップテンポで激しいロック調のものが多いですが、しんみりとした静かなバラード調の曲や可愛らしい雰囲気のクリスマス・ソングもたくさんあります。伝統的な賛美歌や他のアーティストのカバー曲も多く、そのアレンジのセンスもなかなかのものです。

 

現在、活動拠点としている米国テネシー州ナッシュビルを中心にアメリカ国内はもちろんヨーロッパでもツアーも展開し、その曲は各種ドラマや映画の主題歌にも用いられ、グラミー賞はじめ受賞歴も多数。(二人のお姉さんにあたるレベッカ・セント・ジェームスもグラミー賞歌手です)・・・でも、日本のラジオの音楽情報番組ではなぜか素通り。もう何年もテレビを見てませんがそちらでも同じことでしょう。

 

もっとも、ワタシ自身も彼らの曲が映画「ベン・ハー」のリメイク版(2016年)に添えられるまで、その存在すら全く知りませんでしたが・・・:

 

きっかけは映画「ベン・ハー」の挿入歌


for KING & COUNTRY - "Ceasefire" - Music Video

 

2016年リメイク版の映画の中身そのものは、大ヒットを記録した1959年版の内容に比べればスケールの違いなどで大きく差が出てしまったようですが、予告編の動画に流れていた彼らの歌「Ceasefire (直訳で「停戦」の意))が訴える和解と平和のメッセージには、強く心惹かれるものがありました。クリスチャン・ポップ系ミュージシャンの層が厚い米国でもかなり思い切った内容の歌詞と受け止められているようです。 

 

この曲で筆者がいちばん好きなフレーズはこちら。ひとつの祈りですね。:

Teach us how to live humbly
Love unconditionally
Transform our hurt into hope
And grant us your peace...

 この曲をきっかけに、筆者の関心はリメイク版ベン・ハーの結末より、この兄弟デュオが創りだす歌の世界のほうに逸れていくことになります。

 

意外なことに、彼らの作品はYouTubeなどでは前のグループ名「Joel & Luke」時代のものを含め公式アカウントからもファンからも多数公開されていて、欧米ではかなりの有名人扱い。いろいろ聴いているうちに、二人の作る楽曲は、甘ったるいラブソングや悲恋の歌よりは「励ましソング」のほうが多くを占めていることに気づきました。クリスチャン・ポップというジャンルならではのテーマの取り方とか、アーティスト自身が意識する社会的役割というのもあるように思います。

 

for King & Countryの励ましソングあれこれ

というわけで、彼らの励ましソングの中でも、親しみやすい旋律と心に響くパワフルな歌詞で筆者も折りに触れ聴くことの多い曲をいくつかまとめてみました。

 

It's Not Over Yet (まだ終わりじゃない)

彼らの代表作とも言うべき応援歌のひとつ。もともとは突然の奇病に見舞われた妹さんを力づけたいとの想いから生まれた曲とのことで、リアルな背景も手伝って歌詞の力強さも群を抜いているように感じられます。 最近のライブでも必ず歌われるほど人気の曲目。その後、妹さんも無事回復し元気を取り戻したとのことで一安心。以下、ファン有志により制作された歌詞付き動画でご紹介します。

 


for King & Country - It's Not Over Yet (Lyric Video)

 

Priceless (値が付けられないほど価値のあるもの)

近年の米国などで社会問題化している人身売買をテーマに自主制作した映画(2016年)の主題歌。実話を元にしたサスペンス風の物語で、偶然知り合った囚われの身の姉妹を助け出すために奔走する主人公のジェームズ役をジョエル自身が演じています。

 

女性の人権問題にも大きくかかわる内容の映画の楽曲とあって、「あなたは値が付けられないほど大切な存在なんだ」と女性を勇気づけるメッセージを強く打ち出しつつ、女性も男性も共に兄弟姉妹としてお互いをもっと尊重しようという意味合いも込めた歌詞となっています。主要なフレーズのあたりは、見方によってはプロポーズの言葉のようにも解釈できます。

 


For King & Country - Priceless (Lyrics)

 

なお、この曲は、アーティスト公式からライブ映像と映画の主要シーンを織り交ぜたミュージック・ビデオとしても公開されています。

for King & Country - "Priceless" (Official Live Music Video) - YouTube

 

映画そのものが日本で公開される可能性は残念ながら低いように思いますが、DVD化されているのでアマゾンジャパンなどを通してオリジナル版の購入は可能なようです。(※同じタイトルの邦画や洋画が多いのでご注意を)

 

joy.(喜び)

2018年10月に発売予定の最新アルバム「Burn the Ships」にも収録されている曲のひとつ。日々、テレビや新聞などマスメディアから絶え間なく流れてくる悲しく辛いニュースの数々に触れているうちに、厭世的になったり諦めに沈んでしまいがちな私達の心を、希望に満ちた真の「喜び」をもって奮い立たせたいとの切なる願い(・・・と解釈していいと思います)が、サンバ調の明るく軽快なリズムとメリハリのきいたメロディに凝縮されています。

 

 
for KING & COUNTRY - joy. (Lyric Video) (4K)

 

この曲はアーティスト公式による動画が2種類公開されています:

for KING & COUNTRY – joy. (Official Music Video) - YouTube

  少し古い時代のテレビ局を舞台にしたドラマ仕立てのミュージックビデオ。日本でも放送され人気を集めたアメリカのテレビドラマ「フルハウス」のD.J役でおなじみキャンディス・キャメロン・ブレも友情出演。曲中でジョエルが懐かしむかつての『若かりし頃の情熱あふれる自分』の役は、ルークの長男である甥っ子のジュード君が演じています。また、前述の映画「Priceless(プライスレス)」に準主役のお姉さん役で出演したビアンカ・サントス(Bianca Santos)もこの音楽ビデオでちらりと顔を見せています。

 

joy. | Single Shot Video - from Orlando Magic's arena! - YouTube

 ライブ会場のひとつとして用いられたオーランド・マジック・アリーナの通路やステージをジョエルとルークがバンドメンバーと一緒に歩きながら歌うスタイルで撮られたビデオです。個人的にはこちらの表現のほうが好きかも。

 

Out Of The Woods (テイラー・スウィフトのカバー曲)

こちらもある種の励ましソングではないでしょうか・・・日本でもファンの多いテイラー・スウィフトの代表的な楽曲のひとつ「Out Of The Woods (アウト・オブ・ザ・ウッズ)」。歌詞の背景については世間でいろいろ取り沙汰されているようですが、いずれにせよ何らかの辛く悲しい時期を乗り越えた実感を静かに噛み締めながらつぶやくような内容の歌詞には深い共感を覚えます。以下のアーティスト公式の動画は、ビジュアル的には本家には叶わないかも知れませんが、早口言葉のようなサビの部分はやはりクセになりますね。

 


for KING & COUNTRY - "Out Of The Woods" (Taylor Swift Cover)

 

God Only Knows (神だけは知っていてくださる)

これも「joy.」と同じ最新アルバム「Burn the Ships」に収録されている楽曲のひとつ。「自死」という極めて重いテーマに取り組んだ内容。

 

God Only Knowsというタイトルは、よく聞かれる「神のみぞ知る!」というどこか投げやりなニュアンスを含むものではなくて、「誰も知らないあなたの悩みや苦しみを、神だけはすべて知っていてくれているんだよ」という慰めと励ましの心から来る言葉として用いられています。 

 


For King & Country // God Only Knows Lyric Video

 

この3つの単語から成るごくシンプルなフレーズは、曲の中で何度も繰り返し歌われますが、エンディングとなる次の歌詞が誰にとっても一番心に響くことでしょう。

God only knows where to find you

God only knows how to break through

 こちらもアーティスト公式からミュージック・ビデオが公開されています。やはりドラマ仕立てで途中ハッと息を呑むようなシーンもあります。微妙な問題だけに、ストーリー展開や表現の仕方には賛否があるかも知れません。

for KING & COUNTRY - God Only Knows (Official Music Video) - YouTube

 

Pioneers

夫婦やカップルの間の「和解と許し」をテーマにした静かな一曲。ゆっくりめの落ち着いたテンポで温かみも感じられるこの曲は、最新アルバム「Burn the Ships」の最後を飾る歌として収録されています。

 

タイトルともなっているキーワード「Pioneers」は、ふつう先駆者とか開拓者と訳される言葉ですが、ここでは「ふたりで共に新たな人生を築いていこう」というお互いへの呼びかけの言葉として用いられています。どこかの電機メーカーの宣伝では決してありません。

 

他の曲と異なり、ジョエルとルークの二人だけでなく、それぞれの夫人(モライア・ピータース・スモールボーンコートニー・スモールボーン)も含めた4人で歌っている点も魅力です。

 

例によってこの曲にもアーティスト公式のミュージック・ビデオが出ています。もちろん兄弟それぞれの夫人も一緒に。ヨーロッパツアー中に立ち寄ったアイスランドの自然の中でドローンも駆使しながら撮影されたこともあってスケール感のある映像美も楽しめます。

 for KING & COUNTRY - pioneers (Official Music Video) - YouTube

  

 まとめ

以上、for KING & COUNTRYの作品の中から、励ましや慰め、いたわり、応援といったメッセージ性に富む歌のいくつかを挙げてみましたが、いかがだったでしょうか。

 

すべて英語ですがあまり込み入った内容のものは少なく、歌詞付き動画もふんだんに出ていますのでそれを見ながら親しみやすいメロディと合わせて一つひとつの言葉を味わってみるのもいいと思います。

 

彼らの音楽をもっと知りたいという方は、公式サイトももちろんありますが、筆者がよく利用するツイッターの公式アカウントもおすすめです。新曲やプロモーションビデオ公開のお知らせをはじめ、ライブの予定とかレコーディング風景とか日々感じた事柄、プライベートに関するちょっとしたつぶやきまで、割とマメに投稿するアーティストなので数日に一回はチェックしています。なかなか楽しいですよ〜。:

twitter.com

 

12/15追記:for King & Countryのクリスマスソング

for King & Country からはクリスマスをテーマにしたオリジナルの楽曲(「Baby Boy」「Glorious」)も発表されていますが、個人的にはこちらの「リトル・ドラマー・ボーイ」のカバー曲もおすすめです。ライブ動画でお楽しみください。


for KING & COUNTRY - Little Drummer Boy (Rewrapped Music Video) [LIVE]